2016年4月10日(日)
ミャンマー 全政治犯 釈放始まる
第1弾は学生69人
ミャンマーで8日、国家教育法に反対する昨年のデモに参加し、身柄を拘束されていた学生69人が釈放されました。ロイター通信などが報じました。アウン・サン・スー・チー国家顧問が7日に発表した政治犯全員釈放の第1弾。1日に発足した国民民主連盟(NLD)新政権の早急な対応に、人権団体は期待を表明しています。(呉紗穂)
学生らの釈放を待っていた家族らはミャンマー最大の都市ヤンゴン北部の町の裁判所にかけつけました。裁判所が釈放するとの宣言をすると、歓喜したり歌を歌ったりして、1年以上拘束されていた学生との再会に涙を流しました。
学生らは昨年3月、中部バゴー地域のレパダンで、国家教育法が学問の自由を制限するものだとして抗議デモを行いましたが、警察に強制解散させられ、不法集会などの罪に問われ、公判中でした。起訴は取り下げられました。抗議デモは複数の町にまたがって行われたため、ほかの裁判所で拘束されている学生らはまだ釈放されていませんが、いずれ釈放される見通しです。
スー・チー氏は7日の声明で、政治活動に絡んで当局に身柄を拘束されている政治犯や学生活動家らの早期釈放を新政権の優先事項とすると表明していました。
2011年まで約半世紀続いた軍政下で、多くの活動家が拘束されてきました。NLDの党首だったスー・チー氏も繰り返し自宅軟禁の身に置かれ、NLDの国会議員の多くも政治犯とされた経験があります。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは今回の釈放について声明を発表し、「ミャンマーの人権にとって大きな一歩」と評価しました。ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)も釈放を歓迎するとともに、平和的な抗議行動を行った市民を拘束する法律を改正するよう新政権に求めました。
スー・チー氏は8日、残る政治犯の釈放はミャンマーの新年休暇明けの今月下旬以降になるとの見通しを示しました。政治囚支援協会は今回の釈放前の7日時点で、収監中の政治犯が121人、裁判待ちの学生活動家らは414人いるとしていました。