2016年4月9日(土)
オランダ EU統合深化に国民懸念
首相、協定見直し示唆
【パリ=島崎桂】欧州連合(EU)とウクライナの自由貿易を軸とした連合協定の賛否を問うオランダの国民投票(6日)で、反対が多数を占めたことが注目されています。
今回の国民投票は、協定そのものの是非よりも、これまでのEUの統合深化のあり方が争点となりました。EU懐疑派活動家が集めた投票実施の請願署名は40万人分を超えていました。
結果は反対約61%と、賛成約38%を大きく上回りました。投票率は約32%にとどまりましたが、投票成立に必要な30%は超えました。反対が多数を占めたことで、近年各国で高まるEUの統合深化への懸念が改めて示された形です。
オランダ以外のEU加盟27カ国はすでに協定を批准済み。結果に拘束力はありませんが、オランダのルッテ首相は「議論なく(協定を)批准することはできない」と述べ、協定内容を見直す必要性を示唆しました。
ウクライナ外務省職員は英BBCに対し、「オランダのEU懐疑派は、EUへの不満表明のためにウクライナを人質に取ることはできない」と語りました。
EU各国では近年、域内の移民増大やEUの権限拡大に反発する右派・極右政党の支持が拡大。同様に、EUの新自由主義的政策やドイツ、フランスなど大国中心の運営に不満を持つ左派政党もEU批判を強めています。