2016年4月6日(水)
米2州最賃15ドル実現
NY・カリフォルニア 両知事署名
【ワシントン=洞口昇幸】米北東部のニューヨーク、西部カリフォルニアの両州の知事は4日、それぞれの州が独自に規定する最低賃金を時給15ドル(約1670円)まで引き上げる法に署名しました。政府規定の最賃時給7・25ドルの倍以上の額が米国の人口で1位のカリフォルニア、3位のニューヨーク2州で同時に決定しました。全米で拡大し続ける最賃引き上げ運動の大きな成果です。
カリフォルニア州のブラウン知事(民主党)が署名した最賃引き上げ法では、同州が規定する現在の最賃時給10ドルが段階的に引き上げられ、2022年に15ドルになります。
従業員25人未満の企業には執行猶予期間を1年間設け、最賃引き上げ期間中に失業率が上がるなど経済状況が悪化すれば、引き上げを一時中断できるとし、中小業者や最賃引き上げが経済に悪影響を与えるのではと不安に思う人々に配慮するものとなっています。
ニューヨーク州の計画は、地域別により細かく段階的に引き上げるものです。同州が規定する現在の最賃時給9ドルから、ニューヨーク市は従業員11人以上の企業を対象に18年末までに、同市周辺の郡部は21年末までに15ドルに引き上げます。同市の10人以下の企業には執行猶予期間を1年間設けます。
残りの州内の地域は20年末までに時給12・5ドルに引き上げ、その後は州の担当者が引き上げ幅を設定して15ドルを目指します。
最賃引き上げ運動を支援するサービス業国際労組(SEIU)は声明で、同2州の決定で「より多くの家庭が家族を支えられる賃金を得られる」と述べた上で、最賃引き上げが11月の米大統領選挙のより大きな争点になるとしています。