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2016年4月4日(月)

ギリシャ トルコへ難民送還きょう開始

抗議・批判強まる

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 欧州連合(EU)がトルコへの難民送還を開始する4日を前に、難民が滞在するギリシャで緊張が高まっています。現地からの報道によると、1日にはヒオス島の難民数百人が収容所のフェンスを破り、「自由、自由」と叫び抗議。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や人権団体からの批判も強まっています。

 難民送還はEUとトルコが3月18日に合意したもので、3月20日以降にトルコからギリシャに密航した人のうち、ギリシャで難民申請をしない人や、申請が却下された人が対象。一方のEUは、送還した人数と同数(最大7万2000人)のシリア難民をトルコから受け入れます。

 密航は許さないという姿勢を示し、EUとトルコが協調してエーゲ海を渡る密航ルートを封鎖します。

 ロイター通信などによると、3月20日以降、ギリシャに密航した難民は2日までに5622人。現在、ほとんどの対象者はギリシャ東部のレスボス、ヒオスなどの島に滞在中です。ギリシャには現在5万2000人の難民が滞在しているとされますが、20日より前に到着した難民の扱いは決まっていません。

 EUは難民審査の担当や警護の要員など2500人以上をギリシャに派遣しました。EU当局とギリシャ政府の難民登録審査が終わった人から順次、送還されるといいます。しかしギリシャ議会は必要な法を1日に可決したばかりで、準備が整っているとは言い難い面もあります。

 一方、270万人以上のシリア難民がいるトルコ側も取り締まりに乗り出し、2日にはギリシャへ向かう密航船2隻に乗った難民ら約200人を拘束しました。今後、ギリシャの島々の対岸ディキリに難民登録センターを設け、送還された難民を登録し、別の難民キャンプに移送します。

 トルコへの難民送還については、ザイド・フセイン国連人権高等弁務官が「難民の恣意(しい)的な拘束」で「集団追放」の恐れがあると懸念を表明。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、トルコが迫害や紛争の危険性を考慮せず、国際法に反してシリア難民を帰国させていると非難しました。

 1日のヒオス島での抗議行動に参加した難民は、フェンスを破りアテネに向かうフェリーを探しました。英BBCは行動に参加した難民の一人が「トルコからギリシャへ海を越え、命を賭して渡ってきたのに追放するなんてひどい」「命を守るため、国から逃げ出してきた。もう帰ることはできない」と訴えたと伝えています。

 (片岡正明)

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