2016年4月2日(土)
仏全土 120万人抗議
解雇規制緩和する労働法改定案 “私たち奴隷じゃない”
【パリ=島崎桂】フランス全土で3月31日、政府が進める解雇規制の緩和を軸とした労働法改定案に抗議する大規模デモやストが実施されました。同法案に反対する全国行動は3月だけで3度目。参加した高校生や大学生、労働者ら約120万人(主催者発表)が「不安定雇用の常態化」を糾弾し、廃案を求めました。
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労働相の名をとって「エルコムリ法案」と呼ばれる法案は、経済的理由による整理解雇の要件緩和や、賃金・労働時間に関わる雇用者の裁量拡大を企図。政府は国民的な反発を受けて法案を一部修正しましたが、若年層を中心に「本質は変わっていない」との見方が大勢です。
強い雨の中で行われたパリのデモには、約16万人が参加し、音楽やドラム演奏が鳴り響く中、市内を行進。高校生の一隊は「ママ教えて。労働者が権利を持っていたって本当?」と書かれた横断幕で労働者の権利縮小を皮肉り、「私たちは奴隷じゃない」と叫びました。
パリ第8大学の女子学生(22)は「長時間労働や低賃金化、解雇自由化は一部で既に進行している。この流れを加速する法案を将来に残すわけにはいかない」と語りました。
下院では同日、仏共産党の議員がバルス首相に対する質問で法案撤回を要求。同党所属の全議員が「廃案」と書かれたプラカードを掲げました。
今回の行動は、仏二大労組の労働総同盟と労働者の力派、全国学生連合、全国高校生連合など7団体が呼び掛けました。200を超える都市で数千〜数万人規模のデモが行われ、参加者数は過去2回を上回りました。多くの労働者は同日、ストを実施し、高校生・大学生らも学校を封鎖しました。
労働総同盟のマルティネス書記長はパリでのデモで「行動は成功だ」として「政府は国民の声を聞き、計画を撤回すべきだ」と主張。既に複数の抗議を準備していると語りました。学生団体もデモ終了直後、ツイッターで「運動の継続」を呼び掛けました。