2016年4月1日(金)
無人機攻撃は「テロを助長」
元軍人ら中止求める
米ネバダ州でシンポ
【ラスベガス=島田峰隆】オバマ米政権が“テロ対策”と称して世界各地で実施する無人機を使った攻撃について考えるシンポジウムが3月30日、西部ネバダ州のラスベガス市内で開かれました。発言した元米空軍兵士や法律専門家らは、無人機攻撃が民間人を犠牲にして憎しみを広げることで「テロを助長している」と強調し、中止を求めました。
|
退役軍人平和会など米国の反戦平和団体が共同で開催し、約100人の市民が参加しました。ラスベガスの北西約70キロのインディアンスプリングスには、無人機を遠隔操作しているクリーチ空軍基地があります。
米中央情報局(CIA)の元高官で無人機を担当していたクリストファー・アーロン氏は、アフガニスタンでは反政府勢力タリバンの人物を攻撃するといいながら、無人機が子どもたちの前で学校の先生を殺害した例などを告発。「無人機は憎しみや怒りを強め、テロをなくすどころか種をまいている。爆弾を落とすことで過激主義思想はなくならない」と語りました。
元米空軍兵士で無人機作戦に使う通信施設建設に関わったショーン・ウェストモーランド氏も「空爆は通常、政府が主張するほど正確ではない。実際には結婚式や葬式を爆撃している。恐怖や悲しみを広げ、過激組織を強くしているだけだ」と述べました。
米国の法曹団体「ナショナル・ロイヤーズ・ギルド」(NLG)の元会長、マージョリー・コーン氏は、無人機攻撃は「紛争の平和解決を定めた国連憲章や、戦闘員と民間人の区別を定めた国際法に違反する。殺害や拷問を続けていては、世界は安全にならない」と批判しました。
オバマ政権は、パキスタンをはじめ、アフガニスタンやイエメンなどで無人機による攻撃を強めています。米機密文書によると、アフガンでは標的として殺害された人の約9割が別人だった時期もあるなど民間人犠牲者が多く、国内外で中止や情報公開を求める声が出ています。