2016年3月27日(日)
シリア停戦発効1カ月
米ロ「政権枠組み8月までに」
赤十字「支援十分に届かず」
米国とロシアの両政府が呼び掛け、発効したシリアの停戦が27日で1カ月、米ロ両政府は「戦闘を著しく減少させ、人道支援を拡大させた」(ケリー米国務長官)と評価しますが、赤十字国際委員会は、必要としている人たちに支援が十分に届いていないと指摘します。またジュネーブ和平協議は24日でいったん中断、米ロ両政府は同日、8月までにシリアの政権移行の枠組みと新しい憲法の草案を確立するとの目標で合意しました。
シリアの停戦は、アサド政権と反体制派が戦闘を中断することで、民間人に対する支援の実施と和平協議の再開が可能になるとして実施。ただ過激組織ISや国際テロ組織アルカイダ系の反体制派「ヌスラ戦線」には適用されていません。
停戦発効1カ月を前に、赤十字国際委員会のクリジシエク報道官は会見し、「敵対行為の停止は、率直に言って変化が見られない。立ち入りが難しい地域は引き続き立ち入りが難しい」と指摘しました。
停戦発効以来、アサド政権と反体制派それぞれが支配する地域で、国連や赤十字などの支援が届いたところもあります。しかし同報道官は「いつでも(支援を)届けることができるようにする必要がある」と述べました。
一方、ケリー米国務長官は24日、モスクワでロシアのラブロフ外相、プーチン大統領と相次いで会談後、ラブロフ氏と共同会見しました。その中で、シリアでの政権移行の枠組みづくりや新しい憲法草案策定までの目標期間で合意したと表明。「いずれも8月までを目標にする」と述べました。
両氏はシリアのアサド政権と反体制派による和平を加速するため協力していくことでも合意。停戦を維持し、人道支援を拡大することでも一致しました。