2016年3月26日(土)
アルゼンチン 軍事クーデター40年
米「過去と向き合う」
オバマ氏 犠牲者追悼式典に参加
【ワシントン=島田峰隆】オバマ米大統領は24日、訪問先アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで、同国の軍事独裁政権(1976〜83年)の犠牲者を追悼する式典に参加しました。アルゼンチンではこの日、軍政の発端となった軍事クーデターから40年を迎えました。
市民がデモ
オバマ氏はアルゼンチンのマクリ大統領とともに同市内にある犠牲者を追悼する公園を訪れました。軍政は民主主義を求める市民や政党、団体を弾圧。拷問、殺害された人は3万人以上に上るといいます。当時の米国はアルゼンチンを含む南米諸国の軍政を支援していたとされます。
オバマ氏は「当時の暗い時代の米国の政策には議論がある。ここで起きたことを思い起こす時、米国は自らの政策と過去を検証しなければならない」と語りました。米政府が当時の米軍や情報機関の機密文書の解禁を決めたことに関し、「米国は誠実さと透明性を持って過去と向き合う責任がある」と述べました。
マクリ氏は「今日はすべてのアルゼンチン国民が、政治による暴力を“二度と起こさない”と主張する機会だ」「われわれは民主主義と人権への決意を再確認しなければならない」と強調しました。
ブエノスアイレス市内ではこの日、多くの市民が軍政による人権侵害を批判し、責任者の追及を求めてデモ行進しました。
現地からの報道によると、市民らは犠牲者の写真をびっしりと並べた横断幕を掲げながら歩き、「記憶、真実、正義―これらの勝利を毎日守り続けよう」「人権なくして民主主義なし」と訴えました。軍政の人権侵害とたたかってきた団体「五月広場の母親たち」のメンバーは米政府に対し、アルゼンチンの軍政に関係するすべての機密文書を解禁するよう求めました。