2016年3月25日(金)
アルゼンチン軍政下の犯罪
米が機密文書解禁へ
オバマ氏表明「信頼を再構築」
【ワシントン=島田峰隆】オバマ米大統領は23日、南米アルゼンチンを訪問し、同国のマクリ大統領とブエノスアイレス市内で会談しました。オバマ氏は、会談後の共同記者会見で、1976年から83年まで続いたアルゼンチンの軍事独裁政権に関し、当時の米軍や米情報機関の機密文書を解禁すると語りました。
機密文書の解禁は、今年の3月24日で軍事クーデター発生から40年を迎えるにあたり、軍事政権の犯罪とたたかってきたアルゼンチンの人権団体などが米政府に要請していました。アルゼンチン政府も以前から解禁を求めていました。
米メディアによると、米政府が当時の軍や情報機関の記録まで解禁するのは初めてです。米政府がこの時期、南米諸国の軍事政権を支援していたことは公然の秘密でした。
オバマ氏は「アルゼンチンが傷を癒やし、前に進むうえで米国は役割を果たす。解禁によって、両国間で失われたかもしれない信頼を再構築したい。これは中南米全体へのメッセージだ」と述べました。オバマ氏は24日、ブエノスアイレス市内にある軍政犠牲者を追悼する公園を訪れる予定です。
マクリ氏は、軍事独裁政権は「わが国の歴史上で最も暗い章だ」と指摘。「われわれは真実を知る必要があるし、知る権利を持っている」と強調しました。
現地からの報道によると、アルゼンチンでは、当時の米政府による関与を含めて軍政の人権侵害をいっそう解明する機会になるとして期待が高まっています。アルゼンチンではフェルナンデス前政権とその前のキルチネル元政権のもと、軍政加担者の責任追及が強められてきました。
アルゼンチンの軍事独裁政権 1976年3月24日、アルゼンチンのビデラ陸軍総司令官が軍事クーデターを起こし、大統領に就任。83年の民政移管まで、民主主義を求める政党や団体を弾圧し、活動家が拷問、殺害されました。弾圧による死者や行方不明者は約3万人に上るとされます。ビデラ政権は、近隣諸国の軍事政権とともに、米国の指揮のもとで組織された南米規模の弾圧網「コンドル作戦」の一翼を担いました。