2016年3月18日(金)
知りたい 聞きたい
米国のドッド・フランク法とは?
米国に、金融危機を防ぐことを目的にしたドッド・フランク法という法律があるそうですが、どういう法律でしょうか? (関東、男性)
金融肥大化の規制を強化
金融機関や金融取引に対する規制を強める法律です。正式名称はたいへん長いので「ウォール街改革・消費者保護法」と略して呼ばれます。ドッド・フランク法は、立法の中心になったバーニー・フランク下院金融委員長、クリス・ドッド上院銀行委員長(いずれも当時の役職)の名をとった通称です。
2008年、米国で発生した金融機関の破綻が海外に波及し、世界的な金融・経済危機に拡大しました。この教訓から、肥大化する金融を規制する必要性が強調されるようになり、09年7月、オバマ大統領が議会に法案を提案しました。議会で審議、修正が行われ、10年7月に大統領が署名して成立。ただちに施行されました。
2200ページを超える膨大な法律で、規制は多岐にわたります。破綻すれば影響が世界に及ぶ巨大金融機関への監視を強めたことが特徴です。そのために財務長官を議長とする金融安定監視委員会を設置しました。同委員会は金融機関が抱えるリスクを評価し、必要とあれば規制政策を提示します。
そのほか、さまざまな債券を複雑に組み合せた金融商品を規制。消費者金融保護局を新設して、消費者が金融機関からだまされたり、返済能力を超えた貸し付けを受けたりすることのないよう取り締まります。
ただ、巨大金融機関の抵抗は強く、同法の実施細則をつくる作業の中で、適用除外の規定をつくるなど、規制を弱める骨抜きが行われました。
(2016・3・18)