2016年3月16日(水)
新大統領にティン・チョー氏
ミャンマー議会が選出
ミャンマー議会で15日、月末でテイン・セイン大統領の任期が切れるのに伴い、上下両院の全議員が新大統領選出の投票を行い、国民民主連盟(NLD)のアウン・サン・スー・チー党首の側近ティン・チョー氏(69)を選出しました。ティン・チョー氏は30日に大統領に就任します。約半世紀にわたって軍出身者が国政トップを占めてきた同国で、文民大統領が誕生します。
ティン・チョー氏は投票後、ロイター通信に「今日の結果は、アウン・サン・スー・チーに対する人民の愛の結果だ。彼女の勝利だ」と語りました。
外国籍の息子を持つスー・チー氏は憲法の規定上、大統領になれないため、代わりに側近を大統領に据えました。自ら「大統領より上の存在」として政権運営を取り仕切る意向です。
大統領選は上院の民選議員(168人)、下院の民選議員(330人)、軍人議員(166人)の3グループが1人ずつ候補を選出し、上下両院の全員投票で最多得票の候補が大統領に当選します。残り2人が副大統領となります。任期は5年、3選は禁じられています。
昨年11月の総選挙で圧勝したNLDは上下両院で過半数を占め、下院枠候補のティン・チョー氏は投票総数652票のうち、360票を獲得して大統領に選ばれました。同氏は元経済官僚で、スー・チー氏が設立した慈善団体の幹部を務めます。
副大統領には、少数民族のチン族でNLD所属の上院枠候補ヘンリー・バン・ティーユ上院議員(57)、元国軍幹部でヤンゴン地域政府首相の軍人枠候補ミン・スエ氏(64)が就任します。ミン・スエ氏は軍事政権時代には腹心として軍政トップのタン・シュエ氏に仕えた強硬派と目される人物です。2007年に起きた僧侶の大規模抗議デモの弾圧に関与したとされ、米政府の制裁対象リストに現在もタン・シュエ氏らとともに名前が記載されています。
(呉紗穂)