2016年3月13日(日)
日本での人身取引深刻
アジア政党国際会議 緒方副委員長が発言
|
【イスラマバード=井上歩】日本共産党の緒方靖夫副委員長・国際委員会責任者は12日、イスラマバードで開かれたアジア政党国際会議(ICAPP)主催の「人身取引問題ワークショップ」に出席し、日本での人身取引被害の深刻な実情と対策について発言しました。
緒方氏は、性風俗産業などでの性的搾取、政府の外国人「技能実習制度」のもとでの強制労働の2点で、日本に広範な人身取引被害があると報告。国際社会から「人身取引根絶の最低基準を満たさない国」と批判されながら、国内では「“隠された社会問題”とされてきた」と指摘しました。
緒方氏は、国際協力とともに“受け入れ大国”での人権侵害を止めることが喫緊の課題だと強調。人身取引根絶のためには法による摘発、貧困削減など包括的な行動が必要となるが、とくに「国民の意識向上と市民運動の発展、NGOと政党の協力強化が重要だ」と強調しました。
緒方氏は日本軍「慰安婦」問題に言及し、「軍、国家権力による女性の搾取と尊厳の否定」が問題の本質であり、被害者への癒やしがなされず、名誉と尊厳が回復されていない未解決の問題だと指摘しました。
人身取引 人を金銭で売買するだけでなく、暴力その他の強制力による脅迫やその行使、詐欺、弱い立場につけこむなどの手段で人を支配下に置き、強制的に売春や労働をさせて搾取する行為。2000年採択の「国際組織犯罪防止条約人身取引議定書」(パレルモ議定書)で広く定義されました。重大な人権問題、「現代の奴隷制」だとして、近年その対策・根絶のための市民運動や国際的取り組みが強められています。