2016年3月8日(火)
米韓演習 米本土から在日米軍基地中継
F22など大量投入
7日から韓国で始まった米韓合同軍事演習(フォール・イーグル)は、韓国メディアが北朝鮮の核・ミサイル施設を先制攻撃することも想定していると報じています。同演習と同時並行で行われる米韓海兵隊による上陸演習「双竜訓練(ツインドラゴン)」が従来の最終場面での実施から戦闘開始とともに「北朝鮮の内陸深く侵攻」する作戦に変更されるなど、かつてない規模となっています。
同作戦を可能にするのは米本国からの各種戦闘部隊の大量投入です。その多くが沖縄など在日米軍基地を中継、各常駐部隊と連携しての「参戦」態勢となっています。
最新鋭のステルス戦闘機F22はアラスカの空軍基地から東京都の横田基地に飛来。沖縄県の嘉手納基地を経由して韓国・烏山基地に移動しています。
三沢基地(青森県)の戦闘機F16は敵地のレーダー電波を探知、破壊する任務で、横田基地のC130輸送機は、在日米軍部隊の軍事輸送を分担。嘉手納基地からは空軍特殊部隊がMC130特殊作戦機で読谷村の陸軍特殊部隊のグリーン・ベレーを載せて韓国に飛んでいます。
横須賀で改修中の原子力空母「ロナルド・レーガン」の艦載機が「出撃」。佐世保を母港とする強襲揚陸艦ボノムリシャールが、MV22オスプレイなど沖縄の海兵打撃群部隊を輸送、海兵隊岩国基地の垂直離着陸機AV8Bハリアーなどの投入が指摘されています。
解説
危険な挑発 問われる日本の態度
韓国で始まった米韓合同軍事演習は、北朝鮮、韓国・米軍の双方から「軍事的挑発があれば先制打撃を辞さない」と相次いで「警告」するなど、軍事衝突になりかねない危険な挑発合戦となっています。
重大なのは同演習に投入される米軍が在日米軍基地を足場に「参戦」態勢にあることです。
同時に見過ごせないのが自衛隊の動向です。米韓合同演習に参加する米原子力空母「ジョン・C・ステニス」を旗艦とする空母打撃群に随伴している海自護衛艦「さみだれ」(広島県呉市)が先月22日、フィリピン海で米海軍高速支援艦「レーニア」から燃料補給を受け、海自の将校がステニスに乗り込むなど行動を共にしています。
とりわけ横田基地での「軍・軍調整所」の動向です。新日米ガイドライン(軍事協力指針)は「平時」からの日米共同作戦の「円滑な活用」をかかげて日米軍事部隊の運用、指揮を統制する調整所を設置。同調整所をめぐっては、北朝鮮の「ミサイル発射」事態に、米軍、自衛隊が共同して海自イージス艦や対空ミサイル部隊を運用するなど事実上の「日米共同作戦」を“実戦”しました。
同調整所の動向監視が必要であり、在日米軍基地からの危険な軍事演習参加を日本政府は拒否すべきです。
(山本眞直)