2016年3月3日(木)
5日から中国全人代
内需主導経済へ議論
新5カ年計画を決定へ
中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)の第12期第4回会議が5日から北京で開かれます。今回の全人代は、2016〜20年の「第13次5カ年計画」を正式決定する見込みです。 (北京=小林拓也 写真も)
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批判意見抑え込みも
中国共産党は12年11月の第18回党大会で、(1)21年までに小康(ややゆとりある)社会を全面的に建設する(2)49年までに社会主義的現代国家を実現する―という「二つの百年奮闘目標」を掲げました。今回の5カ年計画は、目標実現のカギとなるものです。
とくに、中国経済の成長が減速傾向にある中、「比較的高い成長速度」をどう実現するのかが大きな挑戦となっています。
中国政府が進めるのが、輸出主導型経済から内需主導型経済への転換です。この間、習近平指導部は「供給側の構造改革」を強調。鉄鋼、セメント業界などが抱える過剰生産を解消し、供給側である企業の生産の質を高めることを目指しています。これは、需要と供給を同時に改革し、内需拡大につなげるのが狙い。全人代でこの改革がどう具体化されるのか注目されます。
また、習指導部が力を入れる貧困人口の解消や社会保障制度改革などの民生分野、環境問題や反腐敗闘争などでどのような方針が打ち出されるのかにも関心が高まっています。
全人代開幕を控えた2月19日、習主席は中国共産党機関紙・人民日報や国営の新華社通信、中央テレビを視察。「党と政府のメディアは党と政府の宣伝の陣地であり、党を代弁すべきだ」と指示しました。
このやり方を疑問視し、中国版ツイッター「微博」で「人民の政府はいつ党の政府に変わったのか」とつぶやいた企業家・任志強氏に対し、党は「党のイメージを著しく損なった」として処分すると発表。さらに、全党員が党規約と習総書記(国家主席)講話の二つを学習し、「合格党員」になるための教育運動を大々的に始めました。
中国のある政治学者は「党・政府への批判的な意見を抑え込み、安定した雰囲気で全人代を迎えようという意図がある。庶民の不満が高まる中、党の正統性の根幹となる経済発展で成果を上げられるのかが重要になっている」と強調します。