2016年3月1日(火)
ギリシャ孤立を懸念
独首相 近隣国の難民対応を批判
【パリ=島崎桂】中東などから欧州に向かう難民が急増している問題で、ドイツのメルケル首相は2月28日、大多数の難民が到着するギリシャ一国への負担集中は「容認できない」と発言、フランシスコ・ローマ法王も同日、ギリシャの難民対応を称賛した上で、欧州各国による協力を強く求めました。
近隣国による難民流入抑制策を受け、ギリシャの国境付近には現在、6000人以上の難民が滞留しています。
メルケル氏は独公共放送ARDとのインタビューでギリシャの現状に触れ、「一つの国が孤立するという、まさに恐れていた事態だ。容認できない」と指摘。「他国を犠牲にしてではなく、他国と協力して解決する」必要性を強調しました。
法王も28日、バチカン(ローマ法王庁)のサンピエトロ広場に集まった信者らを前に、ギリシャによる難民への「惜しみない支援活動」を称賛。全欧州規模での協力強化を求めました。
欧州連合(EU)は昨年9月までに、2年間で計16万人の難民を加盟国に割り当てることで合意しましたが、各国のこれまでの受け入れ数は、わずか600人ほどにとどまっています。
一方で、オーストリアや中東欧諸国は今年に入り、特定国出身者の国境通過を禁止するなど独自の難民流入抑制策を実施。これに抗議するギリシャが駐オーストリアの自国大使を召還するなど外交問題に発展しています。
国境沿いに有刺鉄線の柵を設置するなど難民流入阻止を強めるハンガリーでは先週、オルバン首相がEUの難民「割当制」の是非を問う国民投票実施を表明。EUの報道官は「理解に苦しむ」と述べ、強い不快感を示しました。