2016年2月25日(木)
グアンタナモ閉鎖計画 議会に提出
米政府“対テロに逆効果”
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【ワシントン=島田峰隆】オバマ米政権は23日、キューバ南東部のグアンタナモ米軍基地にある“テロ容疑者”収容所を閉鎖する計画を議会に提出しました。収容者を他国と米本土に移送することが柱です。就任当初から収容所の閉鎖を公約してきたオバマ氏は、議会と国民に協力を求めました。
米政府は、2001年の米同時多発テロを受けて、02年からグアンタナモ収容所に“テロ容疑者”とみなす人々をこれまで約800人収容し、今も91人を拘束しています。過酷な取り調べで人権が侵害されているとして、国際社会から批判を浴びてきました。
オバマ氏は23日、ホワイトハウスで声明を発表し、「収容所はテロとのたたかいにおいて逆効果だ。テロリストが人材確保のための宣伝として利用しているからだ」と指摘。施設運用に高額の費用がかかるうえ、同盟国との関係にも悪影響を与えるとして閉鎖の必要性を強調しました。
国防総省が発表した計画によると、収容中の91人のうち35人を第三国に、30〜60人を米本土に移送します。米本土の移送先として可能性があるのは13カ所としていますが、施設の特定はしていません。
収容所の閉鎖で、10年間で少なくとも3億3500万ドル(約375億円)が節約できるとしています。
収容者の米本土移送をめぐっては、連邦議会で多数を占める野党共和党や、候補地と言われている州の知事などに根強い反対があります。上院共和党トップのマコネル院内総務は「米本土に危険なテロリストを連れ込む計画には、議会の与野党ともすでに反対の意思を示してきた」と語りました。
閉鎖を求めてきた団体は「公約を実行しようとする姿勢は称賛に値する」(人権擁護団体「全米市民自由連合」=ACLU)などと歓迎しています。一方で「問題は場所ではなく、無期限拘束という倫理に反する違法なやり方だ」(憲法権利センター)として、一方的な拘束そのものの中止を求める声が出ています。