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2016年2月22日(月)

2016 とくほう・特報

東京・米軍横田基地、変貌 より攻撃型へ

自衛隊との「調整所」で密接に

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 在日米軍司令部が置かれ、首都東京に居座る横田基地がいま変貌を遂げようとしています。日米新ガイドライン(軍事協力の指針)や戦争法を実行する米軍・自衛隊の「調整所」が設置されるとともに、特殊作戦機CV22オスプレイの常駐化などで、より“攻撃型”の戦争拠点に変わろうとしています。周辺住民は「戦争の拠点、横田基地はいらない」と声をあげ続けています。(山沢猛)


訓練拡大で住民被害増加

 「ブオーーン、ブオーーン…」

 爆音が頭上から覆いかぶさるように襲い、重い低音が腹に響きます。米軍横田基地所属のC130輸送機の「夜間訓練」は底冷えのするこの日、午後6時15分から始まり、9時までくりかえされました。翼を傾けて、あきる野市の上空をぐるぐる旋回する姿も。

 基地から2キロメートルの同市二宮に住む前田眞敬(まさよし)さん(71)は「低空の時はもっと騒音がひどい。隣のお年寄りは『低空で迫ってくるようで怖い』といっています。わが物顔のやりかたで、市役所にたいし(当局に)抗議するよう申し入れました」と怒ります。

 あきる野市は、爆音被害が最も激しい横田基地滑走路(全長3353メートル)の延長線上一帯から外れています。そのため訓練拡大の被害をうけながら、なんの補償もありません。

 C130輸送機の夜間、低空、旋回訓練が激しくなったのは、航空自衛隊横田基地が新設された2012年からです。

 さらに外来機が激増しています。1月20〜26日に、レーダーに捕捉されにくいステルス戦闘機F22が14機、F16戦闘機6機が飛来したことが、周辺住民を驚かせました。この飛来は防衛省も事前の通告を受けていませんでした。

 「横田基地の撤去を求める西多摩の会」の高橋美枝子代表は「ベトナム戦争が終わった後は横田基地は兵たん・輸送基地です。これだけの戦闘機が一度に来たことはありません。横田をより攻撃的な拠点に変えたいという日米両政府の狙いがはっきり見えています」と話します。

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オスプレイも特殊部隊も

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(写真)横田基地から移動する2機のMV22オスプレイ=2015年9月(羽村平和委員会提供)

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(写真)毎月開かれている横田基地撤去を求める座り込み行動(写真は1月17日の82回目の行動)。後方の建物は基地内の米軍住宅

 昨年、米政府が特殊作戦機CV22オスプレイを2017年後半まで3機、21年まで7機、計10機配備し、要員430人を横田基地に常駐させると発表。兵士・乗組員41人の死者を出している危険なオスプレイの配備に、住民は「オスプレイは来るな」という声を高くあげました。

 「特殊作戦部隊の訓練の先取り」と住民が警戒するのが、パラシュート降下訓練。2012年1月に、アラスカの部隊の訓練に始まり、その後、沖縄の特殊作戦部隊などが横田で実施。降下人数は15年までの4年間でおよそ2000人にのぼります。

 在日米軍研究者の軍事リポーター石川巌さんは「横田に来るCV22の親部隊は、昔から嘉手納基地にある空軍の第353特殊作戦航空群。ここに特殊作戦機MC130コンバットタロン(たたかう猛鳥の爪)など十数機がいる。任務は敵勢力の背後に夜間に潜入し兵士を投入、回収することで、『こうもりネコ』軍団の異名を持つ。CV22はMC130の弟分だ」といいます。

 CV22オスプレイは、沖縄に24機いる海兵隊のMV22と機体は同じですが、専門機器をつけています。

 石川さんは東富士演習場(静岡県御殿場市)で、オスプレイ訓練通報に反して直前に中止という“ドタキャン”が9回も繰り返されたことを体験(2014年9月から翌年6月)。「そのとき富士山麓が雪や悪天候だったのを、自分の目と肌で確かめた」そうです。

 その後調べ直した英語文献で「オスプレイは結氷が予想されている地域での飛行は、現在、禁止されている。氷結防止装置が故障しやすく、天候レーダーを持っていないからだ」(2009年米会計検査院リポート)との一節を見つけて「あっ」と声をあげたといいます。その後も、高地や砂漠に弱い、エンジン故障が起きやすいなど“特異体質”ぶりがいろいろわかったといいます。

 この冬も10月18日以降、冬季の本州には姿を見せない一方、温暖地の長崎県佐世保には12月と1月で4回、のべ6機が飛んできています。

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外務省・防衛省の説明資料「CV―22オスプレイについて」から作成(コマンドは軍のこと)

隣接するF35整備拠点化

 2014年12月、米政府は、今後主力となるステルス戦闘機F35Aのアジア・太平洋での地域整備拠点(リージョナル・デポ)を、オーストラリアと日本におくと発表。その後、機体の整備は三菱重工業(愛知県の小牧南工場)、エンジンは横田隣接のIHI瑞穂工場(旧石川島播磨重工業)にすると発表しました。

 IHIではエンジン組み立てと試運転設備のため地上5階建ての新工場建設中(3月末完成予定)で、専用ゲートもつくられます。

 防衛省はF35Aを42機取得予定で、米国の同盟国も導入をすすめており、世界では3000機を超えると試算されています。

 昨年9月、日本共産党が暴露した自衛隊内部文書で、自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長が14年12月訪米時「今回F35のリージョナルデポが日本に決まり…、本件は相互運用性向上のために重要な決定であると認識している。オスプレイのリージョナルデポも置いていただければ」と話していました。

戦争に組み込む日米同盟

 「横田基地は、日本にたいする政治的支配の拠点でもあり、在日大使館・太平洋軍司令部(ハワイ)・在日米軍司令部・自衛隊統合幕僚監部と密接な関係が築かれている」。こう指摘するのは、日本平和委員会代表理事の内藤功弁護士です。

 2005年10月、日米安全保障協議委員会(日米2プラス2)が決めた米軍再編計画にもとづき、航空自衛隊横田基地が新設されました(12年)。米軍と自衛隊との「共同統合運用調整所」設置がされ、「平時」から「戦時」まで切れ目なく、米軍と自衛隊が情報を共有し連携する仕組みがつくられました。

 在日米軍司令部と中庭をはさんで置かれた自衛隊航空総隊司令部の庁舎地下には「調整所」が置かれ、米軍・自衛隊の要員が対面で任務についています。

 「西多摩の会」の高橋代表は「日米同盟の深化が安倍政権によって加速され、それが横田基地にも表れています。2000万署名はじめ戦争法廃止のたたかいを強めるとともに、日本を戦争に組み込む日米同盟そのものの危険性を告発していきたい。住民一人ひとりの平和な世界で生きたいという願いを大切にしていきたい」と話します。


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