2016年2月22日(月)
奨学金“全額返せ”変えず
文科省の素案 月々の返済額減るだけ
文部科学省は、年収に応じて月々の返済額を決める「所得連動返還型奨学金」の素案をまとめ、23日まで意見公募にかけています。2017年4月から新制度を導入する予定です。
現在は、年収300万円以下の場合、最大10年間の返済猶予がありますが、それ以外は定額返済(月額9230〜1万4400円、最長20年)で、低所得の人ほど負担が重く、延滞者の増加が問題となっています。
新制度では、年収が150万円程度より少ない人は月2000円か3000円を最低返済額と設定。マイナンバー制度によって所得を把握し、課税所得の9〜10%を返済額とし、収入に比例して増額します。定額制も残し、申込時に選択し、卒業までは変更可能としました。
シミュレーションでは、1人世帯で年収300万円なら9%で年10万2000円(月8500円)、10%で11万4000円(月9500円)です。
ただし、最低返済月額が想定される人は、専業主婦(夫)、ニート、フリーター、パート労働者、定年退職者(65歳以上)としており限定的です。期間は、(1)35年(2)65歳の年金受給開始まで(3)現行どおり―の3案を示し、長期間の返済期間を設定します。新制度で月々の返済額は軽減されても、全額返済を迫る方針は従来と変わりません。
返済する人が被扶養者となった場合は、家族が支払う仕組みを導入します。