2016年2月21日(日)
EU改革案で合意
英に「特別な地位」付与
首脳会議
【パリ=島崎桂】ブリュッセルで2日間にわたり開かれた欧州連合(EU)首脳会議は19日、英国のEU残留に向け、同国に「特別な地位」を認めるEU改革案で合意しました。今後は、英国で6月末にも実施が見込まれるEU残留の是非をめぐる国民投票が焦点となります。
焦点は国民投票へ
キャメロン氏は会議後、「英国に特別な地位を与える合意に達した」と述べ、「(英国民に)EU残留を勧めるのに十分だ」と評価。20日の閣議で合意内容を報告した後、国民投票の準備に着手する方針を示しました。
今回の合意では、争点となっていた移民の福祉利用制限について、英国側の要求を大筋で承認。福祉制度の存続に関わる「例外的な状況」を条件に、移民の福祉利用を入国から4〜7年間制限するほか、▽国外に住む移民の子どもへの児童手当減額▽失業期間が6カ月を超えた移民の国外退去の円滑化―などを盛り込みました。
合意ではこのほか、EUの政策決定に対する各国議会の一定の拒否権を承認。財政危機に陥ったユーロ圏諸国の救済への英国の不参加や、EUが企図する「統合の深化」の英国への適用除外も認めました。
これらの改革案は、国民投票を通じた英国のEU残留を条件に発効し、離脱の場合は破棄されます。
キャメロン氏は、EU圏内の移動の自由やユーロ圏諸国の救済を念頭に、「英国が望まない枠組みには参加しない」と主張。国民投票は「国家の運命を決める一世代に一度の機会になる」として、「改革後のEUにとどまるか否か、英国民は今こそ決めるべきだ」と呼び掛けました。
英国で行われた最近の世論調査では、EU離脱の賛否は拮抗(きっこう)。与党・保守党や最大野党・労働党の所属議員でも賛否が分かれており、投票キャンペーンは党派を超えた国民的な議論となりそうです。