2016年2月17日(水)
18大学でデモ・スト
インド モディ政権弾圧に抗議
インド全土の大学で15日、学生自治会委員長の逮捕に抗議してデモやストが行われました。ロイター通信によると、抗議行動は少なくとも18の大学に広がり、右派のモディ政権のもとで強まる表現の自由の圧殺の動きに対する学生の最大規模の抗議運動となっています。
逮捕されたのは、ニューデリーの名門ジャワハルラル・ネール大学(JNU、大学院大学)の学生自治会委員長(28)です。
同大学では、2001年12月に発生した国会議事堂襲撃事件の犯人とされた人物の処刑3周年にあたる今月9日、同事件への関与の真偽や処刑の是非を問う集会が開かれました。
自治会委員長がこの集会に出席したことをめぐり、ヒンズー至上主義の右派団体「民族義勇団」(RSS)傘下の学生組織「全インド学生評議会」(ABVP)の活動家が、同委員長に「反国家的な発言があった」などと警察に通報。警察は同大学の寮やキャンパスで、同委員長ら学生運動家を令状もなしに無差別に逮捕しました。
同大学は、政府に批判的な学生や教授などを輩出してきた進歩的な伝統があります。これを敵視する与党インド人民党(BJP)の国会議員からは、同大学の閉鎖を求める暴言も飛び出しています。
1月には南部ハイデラバード大学で、ABVPの学生の通報がきっかけで大学当局から処分されたダリット(旧被差別カースト)の研究者が自殺。この処分の背後に、モディ政権による大学自治への介入があったことに怒りが広がりました。
インド共産党(マルクス主義)は、「大多数の学生の見解を反映しない、一つの孤立した事件が、進歩的民主的学生運動の弾圧のために露骨に利用されている」と指摘。「BJPの中央政権は主要な教育機関での異論の圧殺を進めてきており、JNUへの反民主的、独裁的攻撃は重大だ」と非難する声明を発表しました。
(伊藤寿庸)