2016年2月6日(土)
シリア人道支援 1.2兆円
70カ国・団体が会合開く
戦争終結が最重要
戦乱の続くシリアと大量の難民を受け入れている周辺国を支援するためのシリア支援国会合が4日、ロンドンで開かれました。国連、英国、ドイツ、ノルウェー、クウェートの共催で、30人の首脳を含む70カ国・団体の代表が参加。総額107億ドル(約1兆2500億円)の支援を約束した共同宣言を発表しました。(伊藤寿庸)
会議で演説した潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、会議の目的として、70億ドルに及ぶ緊急人道援助、内戦終結後も見据えた長期的な復興・開発援助、民間人の保護の三つをあげました。
援助額では、英国が2020年までに17・5億ドル、ドイツが18年までに25億ドル、米国が新たに9億ドルの支援を発表。日本は3億5000万ドルを表明しました。
丸5年になろうとしているシリアの内戦では、約25万人が死亡し、400万人が国外脱出、650万人が国内避難民となっています。緊急人道支援が必要な人は1350万人いるとされています。
英紙ガーディアンによると、会議参加者は、「最も重要なことは戦争を終わらせること」(国際移住機関=IOM=のスイング事務局長)、「援助の約束よりも重要なのは暴力の停止と市民を標的にするのを止めること」(英国の援助団体関係者)などと語りました。
潘氏はジュネーブで開かれていたシリア和平協議が中断したことについて、「いかに分裂が深く困難かを示した」と指摘。とりわけ「人道援助の欠如、シリア国内での空爆と軍事活動の急増」などで協議が行き詰まったことを批判しました。
欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表(外相)は、「この戦争に軍事的解決をもたらすことが出来ると考える者は目を覚ます必要がある」と述べました。
会議ではノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさん(18)も演説し、シリア難民が学校に通えるように「教育と学校への投資」を各国指導者に呼びかけました。