2016年2月1日(月)
ミャンマー きょう新議会スタート
NLD 軍と少数民族の協力求める
【ハノイ=松本眞志】ミャンマーの首都ネピドーで1日から昨年11月の総選挙で選ばれた議員による新連邦議会がスタートします。新議会はアウン・サン・スー・チー党首率いる国民民主連盟(NLD)が単独過半数を占めます。3月末までにNLDの大統領を選出する見通し。NLDは閣僚の約半数を少数民族政党などNLD以外から登用する政権を発足させ、国軍の協力も得た挙国一致体制を目指します。
前議会最終日の1月29日には、軍人議員も含めた新旧両議員合同の昼食会やカラオケパーティーが開かれ、議会は祝賀ムードに包まれました。NLDの新議員ミン・ミン・ソウ氏はロイター通信に、「とてもわくわくしている。女性の権利を促進し、女性が活躍できる機会をもっと増やしたい」と意欲を語りました。
新議会の焦点は新しい正副大統領の選出。上院の民選議員、下院の民選議員、両院の軍人指定議員(議員総数の4分の1)がそれぞれ大統領候補を指名し、両院議員全員の投票で最多得票候補が大統領に就任、他の2人は副大統領となります。
上下両院で過半数を制するNLD候補の大統領選出は確実。現憲法の規定によってスー・チー党首が大統領に就任できませんが、スー・チー氏は自身が大統領に指示を出す実質的な国の指導者になると言明しています。
大統領選出に先立ち、上下両院の正副議長や議会内の重要な役職の選任が行われます。議長は両院ともNLD議員が就きますが、下院副議長は軍系の現与党・連邦団結発展党(USDP)、上院副議長は西部ラカイン州のアラカン民族党からそれぞれ選出される予定です。
3月30日に任期を終えるテイン・セイン大統領は、1月28日の演説で、「現政権は新政権を支援していく」と宣言しました。テイン・セイン氏は、2011年の就任後、政治囚の釈放、経済活動の自由化、外資導入の拡大、言論・集会・出版の自由を促進してきました。一方で同氏は、軍政を19年間指揮してきたタン・シュエ元国家平和発展評議会(SPDC)議長の元側近。軍政時代に制定され、非常時の軍の全権掌握を認め、選挙を経ない軍事指定議席を保証するなど、非民主的条項のある憲法改定に着手しませんでした。
NLD指導部は、当面の課題は軍とNLDが対立していた過去を克服して国政の安定を図ることだとして、憲法改定を急がない姿勢です。ティン・ウ最高顧問はロイター通信に、「軍が早期の憲法改定に同意するなら、軍が国と国民に忠実だということを意味する。しかし、現在のNLDの政策は軍にいかなる圧力もかけないというものだ」と述べています。