2016年2月1日(月)
米、IS掃討 強化か
リビア・アフガンでも
【ワシントン=島田峰隆】過激組織ISの掃討作戦を続けるオバマ米政権が、イラクやシリアに加えてリビアやアフガニスタンでも軍事作戦を始める姿勢を示しています。しかし民間人を巻き込む空爆の強化や新たな戦線の拡大には懸念も出ています。
イラクにはISとたたかう政府軍の訓練などの目的で約3700人の米兵が展開し、シリアにも米特殊部隊が入っています。カーター国防長官は最近、イラク北部モスルとISの拠点であるシリア北部ラッカの奪還に必要だとして、イラク駐留米兵の増派に言及。米メディアによると、オバマ大統領は前向きに検討しています。
また混乱が続くリビアでISが勢力を広げ、約3000人の戦闘員がいるとされます。オバマ氏は1月28日、リビアやその周辺国で対テロ戦の支援強化を指示。報道によると、ホワイトハウスはこのほど、ISを標的にしたアフガニスタンでの軍事行動も承認しました。
こうした動きに対し、ニューヨーク・タイムズ紙は1月26日の社説で「リビアでの新たな軍事介入はアフリカ大陸の他の国々に容易に広がる戦争への進展だ」とし、議会での議論抜きに「第3の戦線」を開くことに懸念を示しました。
米誌『ネーション』のコラムニスト、ゲアリー・ヤング氏はこのほど、「空爆はどこで行っても多数の市民を傷つけ、殺害する。民間人の犠牲は怒りをかきたてる。軍事介入は、テロリストを殺害するよりももっと増やし、状況を悪化させてきた」と指摘しました。