2016年1月20日(水)
英議会 トランプ氏入国禁止を審議
「イスラム教徒入国禁止」発言に反発
請願署名1カ月で57万人分
【パリ=島崎桂】英議会下院は18日、米大統領選挙で共和党の候補者指名を争うドナルド・トランプ氏の入国禁止措置について審議しました。イスラム教徒を敵視する同氏の発言を危惧(きぐ)した英市民の請願署名に基づくもので、出席議員からはトランプ氏に対する批判や懸念が相次ぎました。
イスラム教徒で野党・スコットランド民族党所属の議員は、トランプ氏が「英米両国の安全を脅かすだけでなく、世界中の民族間の緊張を高めている」と述べ、入国禁止を要求。最大野党・労働党の議員は「トランプ氏が愚かなのは彼の自由だが、英国で危険な愚か者として振る舞う自由はない」と痛烈に批判しました。
与党・保守党の議員からもトランプ氏への批判が上がりましたが、大半の議員は英米関係に配慮し入国禁止には反対しました。最終判断はメイ内相に一任され、実現の可能性は極めて低いとみられます。
トランプ氏は昨年12月、米西部カリフォルニア州で起きた銃乱射事件を受け、イスラム教徒の米国入国禁止を主張。移民が多い英国の首都ロンドンについても、「極めて過激化しているため、警察は命の危険を感じている」などと発言していました。
それを受けて英国では、トランプ氏の入国禁止を求める請願署名運動が始まり、およそ1カ月で約57万人の署名が集まりました。
英政府は2011年にオンライン請願サイトを開設。1万人の署名が集まった問題には回答することになっています。署名数が10万人に達した場合は、議会討論の対象となります。