2016年1月18日(月)
台湾総統選
政権不満受け 蔡氏圧勝
【台北=小林拓也】台湾総統選で政権交代を果たし、台湾初の女性総統に就任することが決まった民進党の蔡英文主席(59)は16日夜、台北市内に集まった数万人の支持者を前に「台湾の新時代の始まりを一緒に迎えよう」と勝利宣言しました。
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立法院も民進党過半数
新党躍進 若者の支持集める
中央選挙委員会によると、蔡氏は689万票以上(得票率56・12%)を得て、国民党の朱立倫主席(54)の31・04%、親民党の宋楚瑜主席(73)の12・84%を大幅に上回りました。ただ、蔡氏は敗北した4年前の総統選でも609万票を得ており、上積みしたのは80万票ほど。投票率が過去最低の66・27%で、与党・国民党に失望した多くの人が棄権したとみられます。
同日投票の立法院委員選(定数113)でも民進党が40議席から68議席に躍進し、過半数を確保。国民党は現有64議席から35議席へと大幅に減らしました。2014年に学生らが立法院議場を占拠した「ヒマワリ学生運動」から生まれた新党「時代力量」は5議席を獲得し第3党に。二大政党に批判的な若者らの支持を集め、新しい政治の流れを印象付けました。
民進党を圧勝に導いたのは馬英九政権への強い不満です。08年に就任した馬政権は中台関係の改善を進めましたが、恩恵は一部の大企業に集中。経済の低迷が続き、労働者の給与が上がらないなど、社会に閉塞(へいそく)感が広がりました。また、08年の立法院選で7割以上の圧倒的多数を握った国民党による強引な議会運営にも批判が噴出。政権に対抗するため、さまざまな分野で市民運動が起こりました。民進党は市民運動とも連携し、多くの支持を集めました。