2016年1月12日(火)
アラブ連盟、イラン非難
緊急外相会合が共同声明
アラブ連盟(21カ国と1機構)は10日、カイロで緊急外相級会合を開き、テヘランのサウジアラビア大使館襲撃とシリアとイエメンへの「干渉」を挙げてイランを名指しで非難する共同声明を発表しました。会合はサウジが開催を求めたもの。一方、中国外務省は11日、サウジとイランの対立を緩和するために仲介に乗り出したことを明らかにしました。(カイロ=小玉純一)
中国 対立緩和の外交展開へ
緊急外相級会合は、サウジが2日に「テロ関与」を理由に死刑執行した47人にシーア派指導者を含んでいたことに怒ったイラン市民が、サウジ大使館などを襲撃したことを受けて、サウジが開催を求めていました。
会合後発表された共同声明は、テヘランのサウジ大使館とマシャドのサウジ領事館への襲撃の「直接の原因」は「テロリストに対する決定の実行に関して、イランが行ったサウジに対する敵対的挑発的言質」だと非難。この襲撃に関しサウジや他の国がとった断交などの諸措置を歓迎しました。会合はアラブ連盟加盟国が共同でとる新たな措置については決めませんでした。
レバノン代表は、レバノンの政治勢力ヒズボラがイランの革命防衛隊とともにテロリストを支援したと共同声明が言及した点に異議を唱え、共同声明の採択を棄権しました。
イランの外務省報道官は11日の会見で、「サウジは孤立していないとの印象を与えるために自分の意思を他国に押し付けようとしている」と述べ、サウジを非難しました。
こうしたなか中国外務省は11日、副首相がサウジとイランを訪問して対立の抑制を求めたことを明らかにしました。中国が中東で仲介的な外交を展開するのは異例。中国は原油輸入の多くを中東依存する一方、国連安保理常任理事国としては中東の問題を他の4カ国に委ねていました。最近ではシリア問題でアサド政権と反体制派双方に関与しています。
中国外務省は11日の声明で、サウジとイラン両国にそれぞれ「平静を保ち、抑制し、対話に努め、情勢の改善をともに図るよう望む」と伝えました。両国は中国の役割に感謝したといいます。