2016年1月5日(火)
英国 外銀7社が法人税ゼロ
野党「課税強化を」
【パリ=島崎桂】英国で事業を行う国外の商業・投資銀行主要10社のうち7社が2014年、同国に法人税を納めていなかったことがわかりました。最大野党・労働党からは、銀行への課税強化を求める声が上がっています。ロイター通信が報じました。
法人税を納めていなかったのは、野村ホールディングス、米シティグループ、米JPモルガン・チェース、ドイツ銀行、クレディ・スイスなど7社の英子会社です。
10社は14年、合計で約65億ドル(約7800億円)の利益を上げる一方、法人税を納めたのは3社でその額は計2億500万ドル(約247億円)にとどまっていました。08年以降の金融危機で生じた損失を繰り越すなどして納税を回避、または低額に抑えていたといいます。
労働党のシャドーキャビネット(影の内閣)で財務相を務めるマクドネル議員は、「これらのふざけた数字(納税額)は、金融部門への課税の取り組みをあざ笑うものだ」と強く批判しました。
英国のオズボーン財務相は昨年7月、金融業界の要望を受け入れ、銀行の資産に課税する銀行税の段階的な税率引き下げを決定。一方で、利益に対して課税する法人税を8%引き上げました。
ただ、ロイター通信は金融関係者の話として、「法人税の回避は銀行税の回避よりも容易だ」としており、法人税率引き上げの効果は不透明です。
英財務省の報道官は今回の報道を受け、「財政健全化のためには、銀行による公正な貢献が決定的であり、英政府は(銀行の納税に向けた)重要な措置を講じる」と述べました。