2016年1月4日(月)
給付金削り 低所得対策不十分 高すぎる保育料
子育て支援予算というが これじゃ少子化加速
安倍政権は来年度予算で「『希望出生率1・8』に直結する、子育て支援の充実を図った」(12月26日、菅義偉官房長官のツイッター)と述べています。その実態をみてみると―。
16年度予算案では子育て世帯への臨時特例給付金(14年度1万円、15年度3000円)が廃止されました。消費税増税押し付けのために導入されたものですが、2年間で総額2060億円の給付金がバッサリ削られました。
少ない対象
一方、「ひとり親家庭・多子世帯への支援」と称して児童扶養手当の第2子月5000円、第3子以降3000円を倍増しますが、支給額は収入に応じて減らします。対象は約42万人で28億円にとどまります。
低所得者世帯の第3子以降の保育料を無償化し、低所得のひとり親・多子世帯の保育料軽減(第1子半額、第2子以降無償)を行いますが、年収360万円の所得制限を行うため両者合わせて29万人、109億円です。
しかし、第3子以降の無償化、第2子半額はすでに多くの自治体が実施しており、所得制限もありません。「保育園を考える親の会」の調査(15年度)では、100自治体(首都圏の主要都市と政令市など)中98自治体で第3子無料を実施しており、所得制限はありません。
そもそも高すぎる国の保育料基準の引き下げには背を向けたままです。自治体では国の基準額を口実にした保育料値上げが相次いでいます。4月から年少扶養控除の「みなし適用」が廃止され、多子世帯ほど保育料が跳ね上がっています。大阪府豊中市では、5人の子どもがいる家庭で月6600円の保育料が4月から3万300円になり、年約29万円弱の負担増となります。
消費税も増
公約に掲げた「幼児教育の無償化」も看板倒れで、「段階的無償化」といわざるをえなくなっています。
安倍政権はこの間、「貧困対策」と逆行する生活保護基準の引き下げを実施。多子世帯ほど削減幅の大きい生活扶助引き下げ(13年度〜3年間で670億円)、住宅扶助(3年間で170億円)、冬季加算(34億円)の削減を行いました。
生活保護基準の引き下げに連動して就学援助基準を引き下げた自治体も生まれ、援助が受けられない子どもも生み出しています。
このうえ消費税が10%となれば、低所得世帯への対策も吹き飛び、すべての子育て世帯に大きな負担がのしかかります。「希望出生率1・8」どころか少子化を加速化させるのは必至です。