2016年1月1日(金)
ASEAN共同体 始動
平和の「中心的役割」めざす
【ハノイ=松本眞志】東南アジア諸国連合(ASEAN)共同体が31日に発足しました。11月の首脳会議は、今後10年間の目標となる「ASEAN共同体ビジョン2025」を採択。レ・ルオン・ミン事務局長は「アジア・太平洋全体の平和、安定、安全のために協力する『開かれた共同体』をめざす」と述べています。
「ビジョン」は、戦争放棄を明記した東南アジア友好協力条約(TAC)などの原則を堅持し、東アジアの平和と安定に「中心的役割」を果たすと強調。東アジア首脳会議(EAS)に参加する18カ国(ASEAN10カ国と日米中ロなど)が、TACと同様の「法的拘束力のある文書」を結ぶことを探求すると宣言しています。
共同体は、平和を保障する「政治・安保共同体」、繁栄をめざす「経済共同体」、一人ひとりが豊かに発展できる「社会・文化共同体」の3本柱から成ります。
ミン氏は共同体発足までの歩みについて、「この地域は文化、宗教、歴史、政治制度が多様だ」と指摘しました。各国の主権を尊重し、内政不干渉とコンセンサス(全員一致)による地域統合の努力が「多様性を弱みではなく強みに転換した」と強調。この経験は東アジアの平和と安定にも生かせると語りました。