2015年12月30日(水)
反緊縮野党が連立拒否
スペイン 首相の交渉が難航
【パリ=島崎桂】スペインでは先の総選挙を受けて、ラホイ首相による新政権樹立に向けた連立交渉が難航しています。28日には第3党に躍進した反緊縮政党ポデモスのイグレシアス党首と会談。イグレシアス氏は、過去4年間にわたり緊縮政策を推進してきたラホイ氏の与党・国民党との協力を改めて拒否し、国民生活の救済に向け、新法の制定を求めました。
同国では来月13日に新議会を招集し、新首相の信任投票を行う予定。首相信任を得るため、ラホイ氏は他党に棄権を呼び掛けています。
イグレシアス氏はラホイ氏との会談後、連立も棄権もしないと表明。緊縮策に伴い急増した失業や貧困などの被害を救済するため「社会緊急法」の制定を求めました。同法は、▽全国民への電気・暖房の供給▽差し押さえにより住居を失った世帯の救済▽貧困による医療難民の撲滅―などを目指しています。
一方、最大野党・社会労働党(PSOE)を軸とした左派政党間の協議も難航が続いています。
左派政権の樹立にはPSOEとポデモスの協力が必要ですが、両党間には独立機運が高まる東部カタルーニャ州への対応で対立があります。ポデモスは、同州の独立を問う住民投票の実施を公約。それに対しPSOEのサンチェス書記長は28日、「カタルーニャの独立を支持する政党とは協力できない」との立場を示しました。
最初の首相指名から2カ月たっても首相が選出できない場合、憲法の規定により再選挙となります。最新の世論調査によると、国民の3分の2は政権樹立を望んでおり、再選挙を望む人は少数派です。次期首相には、ラホイ氏の続投を望むとの回答が27%、イグレシアス氏が26%と拮抗(きっこう)しており、サンチェス氏が20%となっています。