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2015年12月29日(火)

ヒトラー著『わが闘争』 反面教師的に“過去克服”

教育相・教員「高校授業に」

なぜホロコーストもたらした

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 ナチス・ドイツの総統ヒトラーの著書『わが闘争』を批判的に学ぶことで「過去の克服」を果たそうと、高校生の授業で同書を取り上げるようドイツの教育相や教員組織が呼び掛けています。ネオナチなどがインターネットでアクセス可能な同書を使って宣伝する中、教育に取り入れることで、若者たちに何がホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)や破局をもたらしたのかを伝えようという試みです。(片岡正明)


 きっかけは、独バイエルン州が持っていた『わが闘争』の著作権が今年末に切れること。ドイツ国内ではオリジナル版の発刊禁止は継続されますが、来年1月に批判解説付き『わが闘争』が出版されます。この本の一部を授業に使おうとの提案です。

 『わが闘争』はヒトラーが自らの幼年期とウィーンでの青年期などの自伝的要素を記述、反ユダヤ主義や差別的人種観をもとにした世界観を主張しています。ナチス・ドイツ時代は1000万部以上が販売されました。戦後、西独政府はナチス思想の宣伝を刑事罰の対象とし、国内では限られた歴史研究者だけに公開されてきました。

 新しい『わが闘争』は本文3500カ所に細かな注釈を付け、計2000ページの上下2巻本となります。ミュンヘンのドイツ現代史研究所が3年の歳月をかけ作成しました。

 ワンカ教育相は24日付の独紙パッサウアー・ノイエン・プレセのインタビューで、「著作権が切れ、『わが闘争』に接することが可能になり、生徒たちは当然の疑問を持つ。このテーマで授業を行うことが必要だ」と語りました。

 ドイツ教員連盟のクラウス代表は「すでに『わが闘争』はインターネットでアクセスできる。禁じられたものは余計に好奇心を刺激するだけだ」とし、積極的に反面教師として学ぶことを主張。そうすることで「若い人たちに、ヒトラー時代の12年間の破局と大虐殺につながった極端な世界観に対する免疫をつけてもらえる」と訴えています。

 一方、ドイツのユダヤ人協議会は、新たな『わが闘争』出版について、「反ユダヤ主義の罵倒の表現は伏せたままが望ましい」と表明しています。


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