2015年12月28日(月)
軍事研究“呼び水”6億円
16年度予算案 わずか1年で倍増
防衛省が大学などに資金を提供し軍事研究を委託する「安全保障技術研究推進制度」について、安倍晋三政権は2016年度予算案で防衛省の要求通り6億円を計上しました。15年度に3億円で始まった同制度は、わずか1年で倍増しました。安全保障関係者は、日本の科学界を軍事研究に誘い込む“呼び水”と指摘します。
日本の科学界は、侵略戦争に協力した反省から、戦後は軍事研究に携わらないと誓ってきました。
防衛省の研究委託制度は、文部科学省の国立大学運営費交付金の削減などによって多くの大学があえいでいるのにつけ込み、金の力で軍事研究禁止の壁を取り払おうというもの。研究テーマも「軍事研究」ではなく、軍民両用技術を意味する「デュアルユース技術」という言葉を使っています。15年度の109件の応募のうち80件を大学や公的研究機関が占めました。
防衛装備庁の堀地徹装備政策部長は11月末の日本防衛学会の研究大会で、防衛省の研究委託制度には旧帝大を除く主要大学から応募があったとし、「(軍事研究禁止の壁が崩れるのは)時間の問題だ」と語っています。