2015年12月26日(土)
ニコンの中止は違法
「慰安婦」テーマ展示 写真家が勝訴
東京地裁
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中国に置き去りにされた日本軍「慰安婦」をテーマにした写真展が、会場を運営するニコンによって一方的に中止されたのは不当だとして、韓国人写真家の安世鴻(アン・セホン)さん(44)=名古屋市=がニコンに損害賠償などを求めた裁判の判決が25日、東京地裁でありました。谷口園恵裁判長は、ニコンの中止決定を違法とし、不法行為があったとして110万円の支払いを命じました。
判決などによると、安さんとニコンとの間には会場を使用する契約が成立しており、ニコンが一方的に中止したのは契約違反であり違法であると判断しました。また、ニコン側が中止理由で主張していた抗議や脅迫などによる安さんへの危険などは現実的には考えられず、ニコンは表現の場を提供する義務があったとしました。
安さんは、「表現の場を守る判決が出て何よりもうれしい。戦争や原発など社会問題を発表する場がつぶされることがあってはならない」と語りました。
弁護団の李春熙(リ・チュニ)弁護士は「私企業の施設であっても表現の場を与え、守らねばならないという初の判決だろう。自粛傾向のある世の中の風潮に警鐘を鳴らすものだ」と話しました。