2015年12月22日(火)
中国・深圳市 土砂崩れ91人行方不明
投棄残土流出の「人災」
【北京=小林拓也】中国南部の広東省深圳市の工業団地で20日、大規模な土砂崩れが発生し、21日夕までに91人が行方不明になる大惨事になっています。約3000人が捜索活動に当たっていますが、作業は難航しています。大量に投棄された建設残土が崩壊したもので「人災」との批判が噴出しています。
深圳市当局によると、土砂崩れで被害を受けた範囲は38万平方メートル以上で、サッカー場50個分以上に相当します。工場の建物や宿舎など計33棟が被害を受け、建物の3、4階まで土砂で埋まっているといいます。
中国メディアは、事故当日は小雨しか降っておらず、「自然災害ではなく、明らかな人災」だと報道。国土資源省は、周辺から運ばれた大量の建設残土でできた山が崩れたとの調査結果を公表。専門家は「残土が絶えず積み重ねられ、不安定な状態になった」と語りました。
国営新華社通信は工業団地関係者の話として、ここ2年ほど、トラックで常に残土が運び込まれ、騒音や環境汚染がひどかったと指摘。地元当局に何度も訴えたものの、受け入れられなかったと伝えています。
中国では今年、長江での大型客船転覆や、天津での大爆発など大事故が頻発。今回の事故を受け、インターネット上では「国家の監視・管理メカニズムがないのが人災の原因だ」など不満の声が噴出しています。