2015年12月20日(日)
スペイン総選挙
緊縮与党 過半数割れか
きょう投票 左・右派新党に勢い
【パリ=島崎桂】過去4年にわたる過酷な緊縮政策への評価が問われるスペイン総選挙(下院350議席、上院208議席)が20日、投開票されます。各種世論調査によると、緊縮派のラホイ首相率いる与党・国民党の過半数割れがほぼ確実な情勢。同党とともに二大政党を構成する最大野党・社会労働党(PSOE)も伸び悩む中、左派、右派双方の新党2党が後を追う展開となっています。
2011年に就任したラホイ首相は、欧州債務危機のなかで、同国の対応策として緊縮策を推進。付加価値税(消費税に相当)など各種増税や、医療・社会保障費の削減、解雇規制の緩和をすすめました。
その結果、国内経済に大打撃を与えました。失業率は現在も20%を超えており、25歳以下では約50%に達しています。
ラホイ氏は選挙戦の中、欧州内でも最高水準を記録した最近の経済成長率や、減少し始めた失業率を根拠に「最悪の時期は過ぎ去った」として支持を呼び掛けていますが、与党の退潮傾向に歯止めはかかりません。
世論調査では、国民党が約28%の支持率で首位ですが、約45%を得票した11年の前回総選挙には遠く及ばず、緊縮策への国民的な怒りが示されています。続くPSOEも約21%の支持率にとどまり、1975年の民主化以降で最低を記録した前回得票率(約28%)を下回る見通しです。
二大政党に代わって支持を広げているのは、「反緊縮」の市民運動から派生した新党ポデモスと、東部カタルーニャ州の地域政党シウダダノス(市民党)の2党です。両党は18%前後の支持率で第3党を争っています。
とりわけポデモスは、今年5月の地方選で首都マドリードと第2の都市バルセロナで第1党を争うなど躍進が続いています。
東部バレンシアの漁師の男性(22)はロイター通信に対し、「仕事がなければお金もない。お金がなければ住まいもない。生きていくために必要なものが何もない」と述べ、若者が置かれる窮状を告発。二大政党への不満と併せ、「ポデモスが変化をもたらしてくれることに期待する」と語りました。
どの政党も単独過半数には至らないとの公算が大きく、選挙後には連立協議が始まるとみられます。ラホイ氏は協議に前向きな姿勢を示していますが、他の主要政党はこれまでのところ、国民党との連立を拒否。交渉は難航する見通しです。
一方、独立機運が高まっているカタルーニャ州の独立への影響は限定的とみられます。主要政党は同州の独立反対で一致しており、独立派が多数を占める州政府と中央政府の対立は今後も続きそうです。