2015年12月11日(金)
空自入間基地部隊名表札外し
“作戦保全のため”
防衛省回答「試験的に実施」
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航空自衛隊入間基地(埼玉県入間市)での所属部隊を示す案内看板(表札)などを取り外していた問題(11月4日付既報)で、防衛省は10日までに航空総隊の通達に基づき「試験的に実施した」と本紙に回答しました。
通達は10月1日付。米軍横田基地内に司令部を置く航空総隊が全国の所属部隊に出した「作戦保全に関する規制事項の試行について」で、部隊名表札などの取り外しを指示しています。
航空総隊は戦闘任務につく戦闘機部隊やこれを管制・指揮し、警戒管制レーダーや空中警戒管制機で他国機による領空侵犯に対応、緊急発進して警告・阻止します。
入間基地には航空総隊直轄部隊の航空救難団司令部が置かれ、自衛隊機事故による搭乗員の捜索・救助にあたる救難ヘリ、捜索機などが配備されています。
本紙は11月3日の入間基地航空祭で、基地ゲート付近などで部隊表札が取り外された状態を確認しました。
同基地に勤務する隊員は「総隊所属の部隊名をつけたTシャツや部隊がわかる識別帽の着用もダメと指示された。他国の人工衛星による偵察で基地内の部隊配置をわからなくするためというが、安保法(戦争法)や秘密保護法を意識したものではないか、との声が現場で聞かれる」としています。
日本平和委員会の平山武久常任理事は、通達発出日が戦争法成立(9月19日)の直後であることに注目し、こう指摘します。
「防衛省は戦争法案の閣議決定直後に高級幹部を集めた会議で、自衛官が殺し、殺される危険な海外での『駆けつけ警護』などの新たな任務を示した。航空総隊司令官がそれに備えて前のめりな意識で通達を出したのではないか」
防衛省は本紙に「平素からの保全活動の一環で安保法制、秘密保護法を念頭に置いたものではない」としています。
(山本眞直)