2015年11月29日(日)
英反戦団体
空爆反対行動を展開
首相に反論、デモや集会
英国のキャメロン首相は、パリでの同時テロ以降、過激組織IS打倒のためとして、英空軍による空爆を拡大する方向を打ち出しました。同国の反戦団体「戦争阻止連合」は、キャメロン首相の主張に対する反論をウェブサイトに掲載したり、首相官邸前で抗議の行動をするなど、反シリア空爆キャンペーンを展開しています。
(伊藤寿庸)
掲載された、同首相に対する反論は7項目に及んでいます。
第一は、過激組織ISを打倒する統一的な戦略が全く描けていない点です。米軍が13カ月空爆を続けても、ISは戦闘員獲得やシリアでの支配地域拡大を続けています。米軍自身がこれを認めているのに、英国の爆撃がそれ以上の効力を持ちうるのか首相は説明できないでいると同団体は指摘します。
第二は、合法性です。首相は空爆の正当化に「自衛」を主張していますが、「自衛権は外国の侵略に適用されるもので、一握りのテロリストによる攻撃の試みが報道されたからといって適用できない」と述べています。
第三は、民間人犠牲者の問題です。キャメロン首相が、最新兵器は正確に標的を狙えるため、最小限の被害しか生まないと述べていることに、すでに有志連合の爆撃で数百人の民間人犠牲者が出ているとの調査があると反論。米国の軍幹部も、「無人機による攻撃は、殺すよりも多くのテロリストをつくり出してきた」と認めたと述べています。
また、7項目のなかで、空爆への代案も示しています。ISやその他の過激主義組織を孤立させるために、シリアのテロリストへ支援をしている地域の反動的権威主義政権への武器売却を中止するよう提案。トルコに対してもシリアへの武器、戦闘員の流入を阻止するよう圧力をかけるべきだとしています。
同団体はこの間、英国各地でシリア空爆に反対するデモや集会を開催。今後も地元選出の国会議員に対してシリア空爆に反対するよう求める活動や、草の根でアクションを計画するなど、英国全土で取り組むよう呼び掛けています。