2015年11月27日(金)
表現の自由国連調査
早期の訪日実現を外務省にNGO要請
表現の自由担当の国連の特別報告者が12月に予定していた来日調査を、日本政府の要請で直前になって中止した問題で、NGO(非政府組織)の代表が25日、外務省担当者から経緯の説明を求め、特別報告者の公式訪問を来年前半中のできるだけ早い時期に実現するよう外務大臣宛てに要請しました。
国連特別報告者のデービッド・ケイ氏(米国)に、日本政府は12月1日から8日にかけて公式訪問に招待すると10月時点で伝え、ケイ氏もこれを公表していました。同氏は2013年制定の秘密保護法の実施、インターネット上の権利、メディアによる取材報道の自由、知る権利などを調査する予定でした。
ところが11月中旬になって、日本政府は「関係する政府関係者へのミーティングが設定できない」との理由で延期を要請。ケイ氏は訪問をキャンセルし、自身のブログで経緯を説明していました。
岸田文雄外務大臣宛ての共同要請書に名を連ねたのは、アムネスティ・インターナショナル日本、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)、秘密保護法対策弁護団など9団体。要請後、代表者3氏が参院議員会館で記者会見しました。
「このような直前のキャンセルは極めて異例であり、国連の活動にも混乱と支障をきたす。二度と繰り返されてはならない」(HRNの伊藤和子事務局長)、「日本政府は、この数年間に実施された人権機関の厳しい審査・勧告に、真摯(しんし)に努力してこなかった。姿勢を改めるべきです」(アムネスティ・インターナショナル日本の川上園子活動マネージャー)、「“来年秋以降でないと難しい”という外務省の説明には合理性を感じられず、(来年夏の参院選後にとの)官邸サイドの圧力を疑っています」(秘密保護法対策弁護団の海渡雄一共同代表)などと語りました。