2015年11月26日(木)
昨年衆院選は違憲状態 1票の格差訴訟で最高裁
小選挙区制で抜本是正不可能
日本共産党の穀田恵二国対委員長は25日、最高裁が昨年衆院選の「1票の格差」訴訟の判決で「違憲状態」と判断したことについて次のコメントを発表しました。
穀田国対委員長がコメント
本日、最高裁大法廷は、昨年の総選挙において小選挙区間の人口格差が2・129倍で実施されたことを「違憲状態」と判断した。3回連続して、現行小選挙区制が、投票価値の平等をめぐって憲法違反の重大な欠陥をもっていることを最高裁が厳しく断罪したことは重大である。
現行の小選挙区比例代表並立制が1993年に「政治改革」と称して提案された際、わが党は「小選挙区制は、選挙制度の基本である民意の公正な議席への反映をゆがめ、比較第1党が虚構の多数を得ることで強権政治を推し進めようとするものだ」として反対した。同時に、小選挙区の区割りが、発足時から2倍を超える格差を容認していることは「投票価値の平等を踏みにじる違憲立法だ」と批判した。このような制度を維持し続けてきた各党の責任が厳しく問われている。
民意の反映を大きくゆがめる小選挙区制の害悪は明白である。先の通常国会で、安倍政権は、6割を超える国民多数の意思を踏みにじり、違憲立法である「戦争法」を強行成立させた。これは、昨年の総選挙で、自民党が全有権者の17%にすぎない支持で獲得した「多数議席」のもとで行われたものである。
現行小選挙区制の根本的欠陥は、得票率と獲得議席に著しい乖離(かいり)をつくりだすことにあり、議席に反映しない投票いわゆる「死票」は過半数にのぼる。この制度は、国民主権・民主主義の根幹を破壊するものだ。
また、小選挙区制のもとで「1票の格差」を根本的に是正することは不可能である。それは、導入以来、一度も投票価値の平等を保障する抜本的格差是正が行われなかったことを見ても明らかだ。
現行小選挙区制は廃止すべきである。にもかかわらず、衆議院議長の下におかれた「衆議院選挙制度に関する調査会」が、年明けの答申に向け、「小選挙区比例代表並立制の維持」を前提とし、議員定数削減まで検討していることは看過できない。
定数削減は、主権者の民意反映に逆行し、国民の声を切り捨てるものである。定数削減によって、国会のもっとも大事な役割である政府監視機能が低下することは明らかだ。わが国の国会議員総定数が、わが国の議会政治史上から見ても、国際的に見ても、少ないことは明瞭であり、定数削減を行うことの合理的根拠はどこにもない。ましてや、投票価値の不平等や民意の反映が問題になっているときに「身を切る改革」といって定数削減を持ち出すのは、きわめて不当であるとともに筋違いである。
わが党は、小選挙区制を廃止し、民意の反映する比例代表を中心とした制度に抜本的に改革することを、あらためて主張する。