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2015年11月21日(土)

パリ同時テロ 非常事態 3カ月延長へ

拘束・家宅捜査の権限強化

仏下院可決 自由制限に懸念も

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 【パリ=島崎桂】フランス国民議会(下院、577議席)は19日、パリ同時多発テロ直後に出された非常事態宣言を3カ月間延長する法案を審議、賛成551の圧倒的多数で可決しました。20日には上院での審議が行われ、同日中に成立する見通し。法案成立により、市民の拘束や家宅捜査に関する政府の権限は大幅に強化されるため、自由の制限に懸念も出されています。


 議会演説したバルス仏首相は非常事態の延長について、「(テロの)蛮行に直面した民主主義の回答だ」と指摘。テロの脅威は長引くとの見方を示し、「生物・化学兵器が使用される恐れもある」と警告しました。

 報道機関への捜索、統制は行われませんが、テロ扇動の疑いがあるインターネットサイトは閉鎖される可能性があります。政府は今後、治安を乱す恐れのある組織・団体を強制解散する権限も持ち、過激思想を持つイマーム(イスラム教指導者)のいるモスク(礼拝所)も閉鎖の対象となります。

 法案には過激思想を持つ若者の更生施設の設置も含まれており、年内に設置場所を選定するとしています。航空機の乗客リストを欧州各国が共同管理する仕組みも検討していると述べました。

 バルス氏は一連の施策を「テロの脅威とたたかう近代的で効果的な方策だ」と評しましたが、自由の制限に対する懸念も上がっています。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのフランス支部代表は19日、治安維持の体制について「現行法でも十分だ」と指摘。今回の採決で反対票を投じた与党議員はブログで、「テロリストが私たちの自由の抑圧を狙っている中、私たち自身が自由を制限してしまうのは矛盾ではないか」と疑問を呈しました。

 これに先立ち、パリの大モスクは治安当局と協議を行い、20日に予定していた大規模な反テロ集会の中止を決めました。

 オランド仏大統領は19日、国防会議を開き、シリアやイラクでの空爆強化を改めて要請。ロイター通信によると、仏ロ両国の軍当局は同日、シリアでの共同作戦実施について電話協議を行いました。


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