2015年11月16日(月)
実行犯 仏やシリア出身か
ISがテロ継続を声明
仏大統領「戦争行為」と非難
【パリ=島崎桂】フランスのパリで13日に発生した同時多発テロに関し、実行犯はフランスやシリア出身者で構成する集団との見方が強まっています。こうした中、オランド仏大統領は14日、一連のテロについて犯行声明を出した過激組織ISについて「容赦しない」と表明。今後、ISへの軍事報復に動く可能性があります。
ベルギーで3人拘束
仏検察は14日、一連のテロで129人が死亡、352人が負傷したと発表。うち、少なくとも99人が重体だとして、今後死者数が増加する可能性を指摘しました。併せて、テロの容疑者8人が自爆や警官隊との銃撃で死亡したと述べました。ただ、犯人の一部が逃亡した可能性があり、捜索は続いています。
オランド氏は会見の中、一連の事件は「ISというテロリスト軍隊による戦争行為だ」として、「卑劣な攻撃を受けたフランスは容赦しない」と表明。併せて、国民に3日間の服喪を呼び掛けました。
バルス仏首相も、「我々は戦争の真っただ中にある」「フランスはこの戦争に勝利する」と語り、IS掃討のため仏軍が実施しているシリア空爆を継続する意向を示しました。
一方、ISは14日、「8人の同胞が、慎重に選ばれたパリ中心部を標的とした」とする犯行声明をインターネット上に発表。犯行理由として、フランスによるイスラム教の預言者ムハンマドの侮辱とシリア空爆を挙げ、「フランスとその方針に追従する者は、ISの優先的な標的となり続ける」と語りました。
こうした中、実行犯の素性が次第に明らかになっています。
捜査当局は14日、100人あまりが死亡したパリ中心部の劇場「バタクラン」の銃撃犯4人のうち1人について、過激主義者として仏情報当局が把握していたパリ郊外出身の男と特定。パリ北郊の国立競技場での自爆犯の遺体傍らでは、シリアとエジプトのパスポートが発見されました。
このうち、シリアのパスポート所有者についてギリシャ政府は14日、10月3日にギリシャで難民申請した人物だと発表。ギリシャで難民申請した犯人は他にもいるとの情報もあり、シリア内戦を逃れた多数の難民に紛れて欧州入りした可能性が高まっています。
このほか、ベルギー当局は14日、パリでのテロに関与した疑いで容疑者3人を拘束。ドイツで先週逮捕された男についても、今回のテロに関与した疑いが強まっています。
また、英国では14日、ロンドン郊外のガトウィック空港で銃のようなものを所持し、瓶に入った不審物を放置したフランス出身の男(41)が現行犯逮捕されました。テロとの関連や動機はわかっていません。