2015年11月8日(日)
中台トップが会談
49年以降初 平和発展推進で合意
【北京=小林拓也】中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統は7日、シンガポールで会談し、中台関係の平和発展を推進し、対話の強化、交流と協力の拡大で一致しました。また、「一つの中国」を認め合った「92年合意」の堅持を確認。双方の所管組織トップ間にホットラインを設置することでも合意しました。
中台トップの会談は、1949年に内戦で敗れた国民党が台湾に逃れ、中華人民共和国が成立して以来初めて。互いに「中国の正統性を持つ代表」と主張してきた中台トップが直接会う歴史的な対話が実現しました。
中台間は49年以降、3回の「台湾海峡危機」と呼ばれる軍事的緊張を経験しており、58年には金門島をめぐる砲撃戦も起きています。
両氏が笑顔で1分を超える固い握手を交わしたときには、現場の記者から一斉に歓声が上がりました。
習主席は、会談は「歴史の悲劇を再び繰り返さないためであり、両岸(中台)関係の平和発展の成果を再び失わないためだ」と強調。「両岸同胞が共に手を携えて努力し、92年合意を堅持し、平和発展の道を断固として進み、交流と協力を深化させることを望む」と訴えました。
馬総統は、今回の会談は「台湾海峡の平和を堅持するという決心を両岸が全世界に示したもので、地域の平和を促進するものだ」と強調。ホットライン設置や92年合意の断固堅持、交流の拡大などを提起しました。
92年合意 1992年に中国と台湾の交流窓口機関が確認したとされるコンセンサス。中国は一つであり、中国本土と台湾は「一つの中国」に属するという原則が基本。「一つの中国」の解釈はあいまいで、主権問題を棚上げすることで、中国と台湾・国民党の馬英九政権との交流が進展。一方、台湾の野党・民進党はこの合意の存在を認めていません。