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2015年11月5日(木)

「夫婦別姓」「再婚禁止」 憲法判断へ

最高裁大法廷で弁論

年内にも

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 夫婦が同じ姓(氏)でなければならないとする民法750条と、女性のみ離婚後6カ月の再婚を禁止する民法733条の二つの規定が個人の尊厳と両性の平等を保障する憲法に違反するかどうかが争われた訴訟で、原告側と被告・国の双方の意見を聞く弁論が4日、最高裁判所大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)で開かれました。原告側は、二つの民法規定の違憲性と、国と国会が長期にわたって法改正を行わなかった立法不作為の違法性を訴えました。弁論を受け、最高裁は早ければ年内にも憲法判断を示します。


写真

(写真)夫婦同姓を定める民法750条の規定について争われた訴訟で、上告審弁論のため最高裁に入る原告ら=4日午後、東京都千代田区

 「夫婦別姓訴訟」の弁論で、原告代理人が「うれしいはずの結婚が、(夫婦の姓をめぐって)苦渋の決断となっている」女性の声を紹介しました。

 原告側は、「750条の放置により、『個人の尊厳』が侵害されている。これを食い止める方策をとる責任が立法府にある」と述べました。

 国は弁論で、民法750条が「夫又は妻」のどちらの姓にするかを夫婦の協議にゆだねているので、法の下の平等を保障した憲法に反しないと述べました。原告側は、40年間、婚姻した夫婦の96%以上が夫の姓にしている事実をあげ「民法750条の構造から必然的に生み出された差別的な結果」と反論しました。

 「再婚禁止期間訴訟」では、原告側代理人が国連の人権機関から再婚禁止期間を廃止するべきであるとの勧告が繰り返し出され、諸外国では女性にのみ再婚禁止期間を課す法律が廃止されてきたことをあげて「新しい時代の新しい判断」を最高裁に求めました。

 夫婦別姓を認めない民法750条と女性のみの再婚禁止期間を定めた733条については、1996年2月、法務大臣の諮問機関、法制審議会が民法改正案要綱を答申しています。原告側は二つの訴訟で、答申後も長期にわたって民法改正が行われないことについて「国会の立法不作為」としてその違法性を訴えています。

解説

民法改正怠った国の責任問う

 「最高裁が大法廷を開くのは、長期にわたって民法改正案を国会に提出できなかった政治に対する危機感を表したものです」。今年2月、最高裁が民法規定にかかわる二つの訴訟の審理を小法廷から大法廷に移す決定をしたとき、家族法にくわしい早稲田大学教授、棚村政行さんは、今回の弁論を見通し、こう語っていました。

 法務大臣の諮問機関である法制審議会が、同姓、別姓どちらも選べる選択的夫婦別姓制度や、再婚禁止期間の短縮を盛り込んだ民法改正案を答申したのが1996年。法務省は同年と2010年にそれぞれ民法改正案を準備しましたが、与党内に根強く反対する勢力があったため、閣議決定さえ見送られてきました。「もう待てない」と11年、二つの訴訟の原告たちが、民法改正を怠った国と国会の責任を問うて裁判に訴えました。

 弁論では、選択的夫婦別姓制度の必要性が明らかにされました。この制度は、別姓という選択肢を増やすだけで、これによって不利益を受ける人は見当たりません。それどころか、この制度の導入で、姓を変更せずに安心して結婚できる人が増えます。

 「最高裁の危機感」を生かす道は、二つの民法規定が違憲であり、民法改正を怠ってきた国と国会の責任を明らかにし、立法不作為を認めることです。

 (武田恵子)


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