2015年11月1日(日)
米特殊部隊 シリア常駐へ
F15戦闘機増派、空爆も強化
【ワシントン=洞口昇幸】米政府は10月30日、過激組織ISの掃討作戦の一環として、シリア北部でISと戦闘している反体制派の支援のために50人未満の特殊部隊を派遣するなどの新方針を発表しました。すでにイラクへは政府軍の訓練などのため3000人以上の米兵を派遣していますが、シリアでの米兵常駐は初めて。
米政府は、トルコ南部のインジルリク空軍基地にF15戦闘機などを増派し、シリア国内のトルコ国境付近での空爆も強化します。
同特殊部隊は戦闘には参加せず、同反体制派の「司令部」で作戦立案や兵站(へいたん)などの面で助言や支援を行うとしています。アーネスト米大統領報道官は同日の記者会見で、ISが「首都」とする最大拠点、シリア北部のラッカに反体制派がさらに迫るには、米軍特殊部隊の支援が必要だと説明しました。
新方針では、ISからイラク中西部のラマディや北部バイジを奪還するため、イラク軍の訓練の強化もするとしています。
シリア問題でオバマ大統領がこれまで「米軍の地上戦闘部隊は派遣しない」と述べてきたことと新方針の整合性について問われたアーネスト氏は、従来通り地上戦はイラク軍やシリアの穏健な反体制派に任せるなどと説明し、「米国の戦略は変わっていない」と主張しました。
アーネスト氏は、「イラクやシリアを悩ます(IS)問題の軍事的解決はない。外交的解決が唯一であることを大統領はとても明確にしている」と述べるも、IS掃討のためにオバマ大統領が実施している多面的戦略のなかで、「軍事の役割は最優先事項の重要な部分だ」と語りました。