2015年10月31日(土)
中国「一人っ子政策」廃止
高齢化社会の進展顕在化
【北京=小林拓也】中国共産党中央委員会は26〜29日に開かれた第18期第5回中央委員会総会(5中総)で、全ての夫婦が2人の子どもを産むことを認め、30年以上続いた「一人っ子政策」の廃止を決めました。29日夜に公表された総会コミュニケで明らかになりました。
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中国は1979年から、人口増加を抑制するため、少数民族など例外を除き、1組の夫婦の出産を1人に制限する「一人っ子政策」を国策として続けてきました。ただ実施から30年以上たち、労働年齢人口(15〜59歳)の減少や高齢化社会の進展などが顕在化。29日発表のコミュニケは「1組の夫婦が2人の子どもを産むことのできる政策を全面的に実施し、人口の高齢化に対応する行動を積極的に展開する」と明記し、高齢化への危機感を示しました。
2013年の中国共産党3中総は、「夫婦のどちらか一方が一人っ子の場合、2人目を産むことができる」と、政策緩和を決定。政府は政策緩和で、毎年200万人の新たな人口増を見込んでいましたが、対象夫婦で実際に申請したのは約100万世帯にとどまりました。
2年前の政策緩和の効果が小さかったため、党・政府はさらなる政策緩和を決断。人口問題の専門家によると、今回の決定でも新たな人口増は600万人ほどにとどまり、人口爆発は起きない見込みです。
「一人っ子政策」をめぐっては、違反者に多額の罰金が科せられ、罰金支払いを拒否した妊婦が地方の役人により強制的に堕胎させられる事件が各地で多発。農村では男児が好まれるため、男女比のアンバランスも深刻化しています。また近年は、一人っ子を亡くした「失独家庭」が問題になっており、今回の決定で、この“悲劇”が減るだろうと期待されます。