2015年10月29日(木)
米は経済封鎖解除を 対キューバ
国連総会決議 賛成国 過去最高の191
米・イスラエルだけ反対
【ワシントン=島田峰隆】国連総会(193カ国)は27日、米国による対キューバ経済封鎖の解除を求める決議案を賛成191、反対2、棄権ゼロで採択しました。決議案はキューバが提出したもので、反対したのは米国とイスラエルだけでした。
国連総会が同趣旨の決議を採択するのは1992年以来、24年連続で、今年は賛成が過去最高となりました。昨年棄権したマーシャル諸島、ミクロネシア連邦、パラオの3カ国も賛成に回りました。
米国は今年7月、キューバと54年ぶりの国交を回復。しかし対キューバ経済封鎖は一部緩和しながらも大枠を維持しています。ゴダルド国連次席大使は「両国関係の前進が見られたにもかかわらず、キューバが過去とほぼ同様の決議案を提出したことは残念だ」などとして反対を表明しました。ただ国交正常化交渉の継続には意欲を示しました。
今回の国連決議は、米国による対キューバ経済封鎖について、内政不干渉や主権平等を定めた国連憲章への違反として国際社会が拒否していることを一段と鮮明に示しました。
今年の決議案には、▽米国とキューバの外交関係の再開を歓迎▽オバマ米大統領が経済封鎖解除の意思を示していることを認識する―という段落が新たに書き加えられました。
キューバのロドリゲス外相は、国交回復を歓迎しつつ、「善意の表明と事実を混同してはならない」と経済封鎖の継続を批判。「経済封鎖はキューバ国民の人権を組織的に踏みにじっている。国際法違反であり、経済社会開発の障害となっている」とのべ、「封鎖の解除は両国関係の前進に不可欠だ」と米国側に行動を求めました。
討論では「国連憲章にある内政不干渉の原則を尊重しなければならない」(東南アジア諸国連合=ASEAN)など、即時の封鎖解除を求める意見表明が続きました。
米国の対キューバ経済封鎖 米政府は、1959年に誕生したキューバ革命政権を崩壊させる目的で62年から経済封鎖を続けています。90年代には第三国の企業がキューバと経済取引を行うことを規制する法律をつくり封鎖を強化。オバマ政権は封鎖を解除したい意向で、9月には渡航、送金、金融取引で一部緩和に踏み切りました。しかし、議会で多数派の野党共和党に封鎖解除への反対が強く、議会の承認を得られていません。