2015年10月28日(水)
米軍、南シナ海に艦船派遣
中国の人工島 12カイリ以内に
【ワシントン=島田峰隆、北京=小林拓也】ロイター通信などによると、米国防当局者は26日、米海軍が南シナ海・南沙(英語名・スプラトリー)諸島の中国の人工島から12カイリ(約22キロ)以内にイージス駆逐艦ラッセン(米海軍横須賀基地所属)を派遣したと明らかにしました。作戦は現地時間27日午前(日本時間同)に行われました。
同艦は、中国が滑走路建設などを進めるスービ(中国名・渚碧)礁から12カイリ以内に進入。中国側は同礁とミスチーフ(同・美済)礁などに造成した人工島から12カイリ以内を「領海・領空」と主張しています。
オバマ米政権は、人工島の造成が国際法上、領有権主張の根拠とならないと指摘。「航行の自由」を訴え、12カイリ以内に艦船や航空機を進入させることもありうると表明していました。
中国外務省の陸慷報道局長は27日、「中国の主権と安全保障の利益を脅かし、地域の平和と安定を損なう」とし、「強烈な不満と断固たる反対を表明する」とのコメントを発表しました。
解説
すべての関係国は平和解決に努力を
南シナ海の領有権問題で最も重要なことは、軍事対軍事の対応を避け、外交交渉による平和的解決に徹することです。これは中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)が2002年の南シナ海行動宣言(DOC)で誓約し、米国も支持しています。
今回の事態のきっかけとなった中国の人工島建設は、一方的に現状を変更し、事態を複雑化させる行為です。国際法によれば、水中に没する岩礁を埋め立てて人工島を建設しても、領海を主張できません。
すべての関係国が国際法とDOCの精神にのっとり、一方的な行動を自制し、問題を平和的手段で解決する努力が求められます。
(面川誠)