2015年10月27日(火)
英元首相 イラク戦条件付き謝罪
識者「占領の苦難緩和を」
【カイロ=小玉純一】英国のブレア元首相が25日、CNNの番組で、イラク戦争と占領について条件を付けて謝罪しました。バグダッド大政治学部のアメル・ファイヤド元学部長は本紙の取材に、占領がもたらした苦しみを和らげる具体的な手だてが必要と話しています。
ブレア氏は、侵攻前の情報の誤り、フセイン体制打倒後の見通しと計画の誤りについて謝罪し、イラク戦争が過激組織ISの台頭の要因の一つになったことを認めました。ただし、フセイン体制打倒は擁護し、戦争そのものについて謝罪を避けています。
これについてファイヤド元学部長は「(米英による)占領でイラク軍を解体し、世界のテロリストにとって好都合な場所とし、ISを導いた」と指摘。「占領がもたらした苦難を緩和する具体的な措置が無い謝罪は無意味。何をするのかをイラクの人は見ている。イラク破壊に関与した国々は、他国への干渉と占領政策をやめ、イラクでのテロとのたたかいを支援してほしい」と語りました。
イラク議会外交委員会のアッバス・アルバヤティ委員長は「謝罪はイラクの人々に対するものでない」「イラク侵攻と占領に関与した国々は、テロに直面しているイラクの再建の力になるべきだ」とアラビア語メディアに語っています。
米ブッシュ政権とともに2003年にイラクに侵攻した英国は、09年まで英軍を最大4万5000人駐留させました。