2015年10月25日(日)
主張
臨時国会召集問題
国政担う政権の資格問われる
臨時国会の召集問題が焦点となっています。日本共産党や民主党、維新の党などの野党は、国会議員の4分の1以上の要求があれば臨時国会を開かなければならないという憲法53条にもとづいて政府に召集を求めました。安倍晋三内閣と与党の自民・公明両党は、外交日程などを理由に応じていません。先の通常国会で成立が強行された戦争法や環太平洋連携協定(TPP)交渉の大筋合意など審議すべき重大問題は山積しているのに、憲法にもとづく臨時国会召集の要求にさえ応じない安倍政権は、国政を担う政権としての資格が問われるものです。
審議すべき重大問題が
国会には毎年決まって召集(最近は1月)され次の年度の当初予算案が審議される通常国会のほか、緊急に審議が必要な場合などに開かれる臨時国会、衆議院の総選挙が行われた直後に開かれる特別国会があることはよく知られているとおりです。憲法53条は、内閣は臨時国会の召集を決定することができ、衆院か参院で4分の1以上の議員が要求すれば「内閣は、その召集を決定しなければならない」と定めています。今回は衆院でも参院でも4分の1を超える議員が召集を求めています。
今年の通常国会は、戦争法の成立を狙った安倍政権のごり押しで、異例の大幅会期延長となりました。問題はそのあと国会で審議しなければならない重大課題が次々出てきていることです。
戦争法は国会でまともな説明ができないまま与党が強行したため、成立後の世論調査でも国民の7割が政府の「説明不足」を指摘する状態です。安倍政権は成立後も説明を続けるといったのに、首相官邸のインターネットのホームページに簡単な特集ページを作ったぐらいでほとんど実行していません。戦争法は9月末に公布され、来年春までには施行されます。臨時国会を開き、政府に責任を果たさせることが不可欠です。
通常国会閉幕後、安倍政権は内閣を改造し、19人の閣僚のうち10人が交代しました。改造の狙いや新閣僚の所信を明らかにさせ、「政治とカネ」などの疑惑をただすうえでも臨時国会は必要です。
通常国会後の大問題はたとえばTPP交渉の大筋合意です。その中身が国会の決議を踏みにじり、日本経済と国民の暮らしを破壊するものであることが日に日に明らかになっています。臨時国会での追及が求められます。
これらの重大課題での審議のため、臨時国会の開会を求めた野党の要求に、安倍政権は外交日程が立て込んでいることや年末の予算編成などを理由に応じていません。しかし、外交日程といっても今予定されているのは11月初めの韓国、中国との首脳会談と、11月15日から1週間ばかりの国際会議です。年末の予算編成でいえば、昨年は12月が総選挙でした。いずれも臨時国会が開けないほどの理由ではなく、政権の資格が問われます。
政府の下請けではない
菅義偉官房長官は臨時国会召集について聞かれると、政府に法案の準備があればと答えていますが、それこそ国会軽視です。国会は政府の下請けではありません。
国会は「国権の最高機関」です(憲法41条)。審議すべき重大問題が明らかな以上、安倍政権は召集の要求にこたえるべきです。