2015年10月23日(金)
対英 大型投資を合意
英中首脳 新原発など7兆円超
【パリ=島崎桂】中国の習近平国家主席は21日、訪問先の英国でキャメロン首相と会談、英国で建設を予定する複数の原発事業を中心に、総額400億ポンド(約7兆4000億円)規模の対英投資計画で合意しました。
会談では、中国原発大手の中国広核集団(CGN)が、英国内の三つの原発新設事業に出資することで合意。うち、東部ブラッドウェル原発では、欧米で初となる中国技術を採用する原発導入を決めました。建設はCGNとフランス電力公社(EDF)が共同して手がけます。
会談後の共同会見でキャメロン氏は、原発への投資計画について「歴史的な取引だ」と評価。習氏は、「(英中)両国は包括的で戦略的なパートナーシップを結び、共に黄金時代を築く」と語りました。
会談ではこのほか、石油やエンジン、客船分野での大規模な対英投資を決定。来年1月から、観光ビザ(査証)の期限を従来の6カ月から2年に拡大することで合意しました。習氏は、ロンドンの金融市場で、人民元建ての国債を発行する方針も示しました。
経済分野で良好な関係が続く両国ですが、懸案も残っています。
習氏は、安価な中国製鉄鋼による英鉄鋼業界への打撃を念頭に、「中国は鉄鋼生産能力の削減に取り組んでいる」と指摘。英メディアや一部市民の関心が強いチベット問題など、中国の人権に関する懸念については、「中国は人権擁護を非常に重視している」と強調しました。
キャメロン氏は、英BBCが投げかけた「人権分野で問題を抱える国との関係強化を喜ぶべきか」との問いに対し、「(経済)関係が強まるほどに、より率直な議論が可能になる」と述べました。